エルヴェ化成株式会社
当社では牛の革を鞣して、様々な牛革素材を製造していますが、牛は主に食肉や牛乳を得るために成育されており、皮の部分は副産物です。革を制作する上で使用する大量の水は、その工程上様々な薬品や汚れを含んで排水されます。たつの市の皮革産業では専用の前処理場を設け、その大量に排出される汚水に対しての取り組みを行っています。
当社をはじめ、皮革産業で利用される動物の皮の多くは家畜の皮です。牛は主に食肉や乳製品の原料を得るために飼育されており、その牛の目的が果たされた際に産出される副産物です。革の材料を得ることだけを目的としたものではありません。皮革産業は、肉や牛乳を生産する家畜がある限りは持続可能な、循環型の事業です。
国内最大のタンナー集積地である兵庫県をはじめとして、和歌山県、長野県、東京都(墨田)、埼玉県(草加)、栃木県などが主な革の生産地となっています。豊富な水源のある地域が古くから革の生産地となってきました。現在では河川の水をそのまま使用するのではなく、地下水などを用いております。
皮革製造では、処理工程と洗浄や排水処理、衛生目的に水が用いられており、全工程における最大の投入材料が淡水です。およそ64~112kgの水が、原皮から革1kgを作るのに消費されています。工場などからの排水は、水質汚濁法や都道府県条例などに定められた基準まで浄化して排出する必要があり、全てタンナーがクリアしています。また、各タンナーでは、工程改善や循環利用などで節水対策を行っています。
日本の製革業(タンナー)で利用される動物の皮の大半は家畜の皮です。家畜は、最終的にと畜されて食肉を供給し、皮が副産物として産出されます。この皮革素材の原料となる「皮」は、我々の食文化が変わらず続く限り、必然的に生産される、人類が大切にすべき天然資源です。昨今では、捕獲された鳥獣(ジビエ)の皮や海洋資源の副産物についても、その資源化、利活用の促進に向けた取組が行われています。
2019年に国内で食肉として処理された成牛は約103万頭、豚は約1632万頭。もしも、副産物として産出された皮を全て廃棄した場合、その重量は東京スカイツリーの約5倍にもなります。
皮革産業では、持続可能な生産消費形態の確保を目指して、循環型社会の形成に貢献していくため、限られた資源「畜産副産物」の有効活用に努めるとともに、有害化学物質の削減と適切な排水処理を徹底し、廃棄物発生量の低減を推進しております。また「日本エコレザー基準認定」制度では、有害化学物質の検査のみならず、原料となる革の出所、使用薬品の確認、排水処理、廃棄物処理の適正な管理について確認が行われています。